中古車業界の大多数は適正な情報開示を行っていますが、残念ながら一部の悪質なブローカーや零細業者の中には、修復歴があることを故意に隠蔽し「修復歴なし」と偽って販売する事例が後を絶ちません。仕入れ値を極端に抑え、無事故車相場の少し下で売却すれば莫大な利ざやが抜けるためです。
売買契約において修復歴を隠して販売する行為は、民法上の「契約不適合責任」に抵触し、契約解除や損害賠償請求の対象となります。しかし、裁判や紛争に発展すれば膨大な時間と労力を消費することになります。店頭で実車を確認する際、素人でも見抜ける重要チェックポイントを押さえておくことが最大の自己防衛になります。
- パネルの「チリ(隙間)」の左右均等性:ボンネットとフェンダーの間、ヘッドライトとグリルの間の隙間を観察してください。指を入れてみて、右側は指先が入るのに左側は全く入らないなど、ミリ単位の左右差がある車は骨格が歪んでいる動かぬ証拠です。
- ボルトの塗装剥がれ・角の丸み:ボンネットを開け、フェンダーを固定しているボルトの頭を確認します。新車時はボディと同色で綺麗に塗られていますが、工具(スパナやソケット)を当てて回されたボルトは塗装が割れ、金属地が露出しています。フェンダーやボンネットを脱着・交換した形跡です。
- ドア開口部のゴムパッキン(ウェザーストリップ)内部:ゴム枠を手で引っ張ってめくると、鉄板同士を接合した「スポット溶接」の丸い窪みが等間隔に並んでいます。新車時の溶接痕は美しい円形ですが、ピラーを交換・修理した車は溶接痕が不揃いだったり、パテで埋められて平らになっていたりします。
- シーリング(防水コーキング)の質感と爪痕:エンジンルームのフチやトランク開口部には、浸水を防ぐゴム状のシーラーが塗られています。純正のシーラーは機械で均一に引かれ、爪を立てると硬い弾力があります。修理業者が手作業で後から盛ったシーラーは波打っており、爪を立てるとブヨブヨと柔らかい特徴があります。
- 下回りの防錆塗装(アンダーコート)の不自然な吹き直し:リフトアップして下回りを確認できる場合、一部だけ新しく真っ黒な防錆塗料が厚塗りされている箇所に注目してください。フレームの曲がり修正痕や溶接の継ぎ目を隠すための偽装工作である可能性を疑う必要があります。