黒死牟が消滅し、戦いが決着した時、無一郎の命の灯火も静かに消え去りました。死の淵で無一郎の魂が辿り着いたのは、霧が立ち込める彼岸の境界。そこで待っていたのは、かつて鬼に襲われて命を落とした双子の兄・時透有一郎でした。
有一郎は「こっちに来るな、戻れ!」と無一郎を突き放し、「こんなところで死んでどうするんだ」「お前が無駄死にだ」と涙を流しながら激しく叱責します。幼くして命を散らした弟を不憫に思うあまりの言葉でした。しかし、無一郎は静かに、そして確かな笑みを浮かべてこう答えます。
「僕は幸せになるために生まれてきたんだ」
仲間と共に戦い、大切な人たちのために命を懸けられた自分の人生には一点の後悔もないという無一郎の告白。その言葉を聞いた有一郎は涙を溢れさせ、無一郎を抱きしめながら「無一郎の無は、無限の無なんだ」と本心を伝えました。過酷な運命を乗り越えて魂が救済されたこの再会シーンは、本作屈指の名場面として読者の心を揺さぶり続けています。