1966年、日本コロムビアからリリースされたデビュー曲「想い出の渚」。この一曲が世に放たれた瞬間、日本のロックシーンの地殻変動が始まった。エレキギターの涼やかなカッティングと12弦ギターのきらびやかな音色。湘南の海風をそのまま音に閉じ込んだかのような爽快なサウンドは、当時の若者たちの心を瞬時に突き刺した。
実は、この名曲誕生の裏には劇的なエピソードが存在する。加瀬が葉山の海岸で水平線を眺めながら、わずか10分足らずでメロディの骨組みを書き上げたという伝説だ。当時、過熱していたグループ・サウンズの多くが海外の模倣に終始していたのに対し、ザ・ワイルドワンズは「爽やかで健康的」という全く新しいアイデンティティを確立。加瀬の計算し尽くされたサウンドメイクこそが、泥臭さを払拭し、洗練された和製ポップスの黎明を告げたのだ。