自らの給与水準に不満を抱く若手社員の多くは、「自分の能力が劣っているから給料が上がらないのではないか」と自責の念に駆られがちです。しかし、取材から見えてきたのは個人の能力不足ではなく、日本型雇用慣行と産業構造そのものに起因する26歳年収が低い理由です。
最大の要因は、日本の旧来型企業に今なお残る「年功序列型賃金カーブ」です。多くの伝統企業では、若手社員の給与を意図的に低く抑え、その分を40代〜50代の中高年層の手厚い手当や退職金原資に回す世代間再配分システムが機能しています。入社4年目でどれだけ個人実績を叩き出そうとも、人事評価テーブルの昇給上限が「年数千円〜1万円」に制限されていれば、劇的な昇給は望めません。
さらに見落とされがちな盲点が「産業別の利益構造」です。営業利益率が3〜5%前後に留まる飲食・宿泊・小売・一般介護業界では、どれほど現場が汗を流しても従業員一人ひとりに分配できる原資に限界があります。一方で、営業利益率が20%を超えるITインフラ、金融、コンサルティング、専門商社では、26歳の時点で年収500万円超が当たり前のように提示されます。年収の高低を決める変数の8割は「個人の優秀さ」ではなく「どの産業のどの商流に身を置いているか」という構造上の問題です。