年末特有の情報の渦の中には、根拠の希薄な都市伝説や事実無根のデマが数多く混ざり合っています。現場取材を通じて明らかになった代表的な誤解を是正します。
筆頭に挙げられるのが、12月31日除夜の鐘意味由来をめぐる解釈です。一般には「人間が抱える108つの煩悩を祓うために108回突く」と知られていますが、実はこれには諸説あり、単なる煩悩の数だけでなく「1年(12ヶ月・24節気・72候)の数値を足し合わせたもの(12+24+72=108)」という暦学的な由来も存在します。さらに重要なのは、鐘を突くタイミングです。多くの寺院では、108回のうち「107回は旧年中(12月31日のうち)に突き終わり、最後の1回だけを年が明けた瞬間に突く」という厳密な作法が存在します。旧年のうちにほとんどの迷いや汚れを削ぎ落とし、新年に新たな心で最後の一打を響かせるためです。近年は近隣住民への騒音配慮から、昼間に鐘を突く「除夕の鐘(じょせきのかね)」へシフトする寺院も急増しており、伝統の形式そのものがアップデートされています。
次に、ネット上で毎年議論が紛糾する12月31日初詣混雑状況と「二年参り(にねんまいり)」の是非です。31日の夜から神社に並び、境内の中で午前0時を迎えてそのまま初詣を済ませる二年参りは、非常に功徳が高いとされる地域がある反面、事故のリスクが最も跳ね上がる魔の時間帯でもあります。
大手神社関係者は次のように内情を明かします。「31日の23時から元旦の午前2時にかけては、防寒対策を怠った参拝客の低体温症や、石段での将棋倒し事故が最も懸念されるピークです。神道において重要なのは参拝者の『清浄な誠の心』であり、混雑による事故に巻き込まれては本末転倒です。元日の日中や、松の内(東日本は1月7日、西日本は1月15日頃まで)に落ち着いて参拝されても、神様からの御神徳に何ら変わりはありません」。分散参拝が社会に浸透した現在、わざわざ大晦日の深夜に長蛇の列へ突入することは、精神的にも肉体的にも消耗を強いる非合理な選択肢となりつつあります。