「教習所に10万円以上払うのはもったいない」「運転免許センターの一発試験なら数万円で済む」というネット掲示板やSNSの書き込みを見かけることがあります。確かに、受験手数料や試験車使用料、交付手数料などを合わせても1回あたりの受験費用は約6,000円前後、合格後の取得時講習料(約16,000円)を合わせても3万円程度で免許証を手にできる試算になります。
警察庁交通局の運転免許統計や全国の試験場データを確認すると、普通二輪の一発試験の合格率は例年わずか8〜12%程度にとどまります。この数値の背景には、試験場ならではの採点基準の厳格さがあります。
指定教習所の卒業検定が「安全運転の基礎が身についているか」を審査する減点方式であるのに対し、試験場の技能試験は「完璧な法規走行と車両制御が瞬時にできるか」を冷徹に精査する落とすための試験です。安全確認時の目線の送り方、首を振る角度、キープレフトのミリ単位の精度、ポンピングブレーキの適切な実施など、わずかな癖や甘れが積み重なり、開始から数分で「試験中止」を言い渡されるケースが日常茶飯事です。
かつてオフロードバイクを乗り回していたリターンライダーや小型二輪のベテランなら数回で合格できる余地もありますが、クラッチ操作も覚束ない初心者が挑戦した場合、5回、10回と落ち続け、試験手数料と平日の会社休暇を消費した末に結局教習所へ駆け込むという最悪のシナリオに陥るのが実態です。費用を節約したいという動機だけで一発試験を選ぶのは極めて危険なギャンブルと言わざるを得ません。