インターネット上の育児掲示板やSNSでは、「手足口病の発疹が治って完治したはずなのに、1ヶ月後に子どもの爪が浮いて剥がれてきた。恐ろしい後遺症ではないか」というパニックめいた書き込みが定期的に拡散されます。この現象の正体こそが、コクサッキーウイルスA6感染後に特有の爪甲脱落症(そうこうだつらくしょう)です。
手足口病爪が剥がれる理由は、ウイルスが爪を作り出す根元の組織「爪母(そうぼ)」に対して一時的な機能停止を引き起こすためです。感染時の強い炎症やウイルスの直接作用により、爪の製造ラインが数日〜1週間ほど完全にストップします。その後、健康状態が回復すると再び新しい爪が下から作られ始めますが、休止していた部分に横溝の亀裂(爪甲横溝)が入り、新旧の境目から古い爪が浮き上がって自然脱落する構造です。
足だけに重い発疹が出た小児や成人の場合、手指の爪だけでなく足の親指などの爪がペロリと剥がれる事態が珍しくありません。初めて直面した親は深い恐怖を覚えますが、下からはすでに薄く健康な新しい爪が生えてきています。無理に剥がさず、引っかかりを防ぐために爪切りで整えたり医療用テープで保護していれば、後遺症を残すことなく完全に再生します。ネット上の「骨の異常」や「壊死」といった根拠のない噂に惑わされない冷静な知識が不可欠です。