言葉の響きが与える印象は異なるが、皮膚に色素を入れるという行為自体は同じだ。しかし、その歴史的背景と精神性は全く異なる。日本伝統の「刺青(いれずみ)」は、江戸時代に花開いた町人文化や浮世絵の美学と深く結びついている。当時は「彫り物」とも呼ばれ、職人や火消しといった男たちが粋や覚悟を示すためのものだった。手彫り(てぼり)と呼ばれる伝統技法を用い、皮膚の深い層にまで墨を突き入れるため、独特の重厚感と「青み」を帯びた黒が表現される。
対して「タトゥー」は、西洋から流入した文化だ。元々はポリネシアなどの部族文化に起源を持つが、現代においては自己表現やファッション、アートとしての側面が強い。施術には電動のタトゥーマシンが使われ、皮膚の比較的浅い層にカラフルなインクを注入する。デザインもレタリングや細いラインのアートなど多岐にわたり、個人のアイデンティティを表現するツールとして機能している。