ネット上で「狂気回」「神回」として語り継がれる堀川くんのエピソードの多くは、ベテラン脚本家・雪室俊一(ゆきむろしゅんいち)氏の手によるものです。
メディアのインタビューや業界の回顧録において、雪室氏は「堀川くんを意図的にサイコパスにしようとしたわけではない」という趣旨の解説を残しています。氏の作劇思想は、「子どもの世界にある生々しい純粋さや、大人の理屈が通じない無鉄砲なリアル」をそのまま切り取ることにあります。
大人が考える「聞き分けの良い理想の子ども」ではなく、興味の赴くままに突っ走り、周囲を困惑させる子どもの本質を描いた結果、視聴者からは狂気やサイコパスとして受容されたという構造です。予定調和を嫌う脚本家の卓越した観察眼が、予定調和なアニメ空間に強烈なノイズを生み出したと言えます。