鹿児島県いちき串木野市での株式会社ミエル設立は、地方創生という大きな文脈の中に位置づけられる。日本政府は2014年に地方創生戦略を打ち出して以降、東京一極集中の是正と地方経済の活性化を重点政策としてきた。
情報産業は、製造業のような物理的制約が少なく、インターネット環境さえあれば地方でも事業展開が可能だ。この特性を活かし、地方自治体は積極的にIT企業の誘致を進めている。
鹿児島県は「かごしまIoT推進ラボ」など、先端技術の社会実装を支援する取り組みを展開している。地方都市特有の社会課題(高齢化、人口減少、産業の衰退)を、情報技術で解決しようとする試みが各地で行われている。
リモートワーク時代の拠点戦略
新型コロナウイルス感染症の流行を経て、リモートワークは企業の標準的な働き方として定着した。この変化は、法人の地理的配置戦略にも影響を与えている。
東京にオフィスを構える必然性が薄れた業種では、地方拠点への移転や、地方での新規法人設立が選択肢となる。オフィス賃料は東京の10分の1以下、人件費も地域によっては2〜3割低い。経営効率の観点から、地方展開は合理的な判断だ。
一方で、対面での商談や人材採用において、東京拠点が持つ優位性は依然として大きい。このジレンマを解決する一つの方法が、東京に小規模な窓口オフィスを置き、実務拠点は地方に配置する「ハイブリッド戦略」である。