普段何気なく削ぎ落としている大根の外皮ですが、植物生理学や食品栄養学の観点から分析すると、実の部分以上に価値ある栄養の宝庫であることが明白です。文部科学省が公表する「日本食品標準成分表」や農研機構などの食品機能性研究データを照合すると、大根の外皮直下(維管束が走る表皮周辺)には、中心部に比べて約1.4倍から2倍近くのビタミンCが局在していることが確認されています。
さらに注目すべきは、抗酸化物質であるポリフェノールの一種「ルチン」や、腸内環境を整える不溶性食物繊維の含有率の高さです。大根が土壌の中で害虫や紫外線、乾燥といった過酷な外敵から身を守るために生合成する機能性成分は、すべて表面の皮近くに張り巡らされています。特有の辛味成分である「イソチオシアネート」も皮付近に多く、これには優れた抗菌作用や抗酸化作用が存在します。この成分は油で加熱することで刺激臭が抜け、芳醇なコクと自然な甘味に転換される化学的性質を持っています。これほどの成分をゴミ箱へ捨ててしまう行為は、栄養を丸ごと廃棄しているのと同義です。