「双極性感情障害」という病名を突きつけられた当事者たちの内面では、どのような葛藤と現実が交錯しているのでしょうか。患者会での手記や自著、SNSに寄せられた一次情報を検証すると、診断直後の特異な心理プロセスが浮き彫りになります。
大手IT企業で勤務中に発症した30代男性の手記には、当時の生々しい心境がこう綴られています。
『診断書に「双極性感情障害」という文字を見たとき、全身の力が抜けました。「ただのうつ病なら、数ヶ月休職して薬を飲めば治ると思っていたのに、感情の障害ということは、自分の人格そのものが壊れてしまったのではないか」と激しい恐怖に襲われたのです。しかし、主治医から「これは性格の問題ではなく脳の生体リズムの機能不全。一生付き合える薬がある」と説明されたとき、これまでの無謀な浪費や急激な気力の喪失の辻褄がすべて合い、張り詰めていた糸が解けるような安堵を覚えました』
確定診断が下りた段階で速やかに着手すべきなのが、精神障害者保健福祉手帳の申請をはじめとする社会保障制度の活用です。診断書に「精神病性症状を伴わない(伴う)双極性感情障害(ICD-10コード:F31)」と記載されることで、以下の公的支援を受ける法的な権利が生じます。
- 自立支援医療(精神通院医療):通常3割負担の精神科外来診療費および調剤薬局での薬剤費が、原則1割負担に軽減されます(世帯所得に応じた月額上限額が設定されます)。初診日から申請可能です。
- 精神障害者保健福祉手帳:初診日から6ヶ月以上経過した時点で申請可能となり、1級から3級までの等級に応じて住民税・所得税の控除、公共交通機関の割引、携帯電話料金の割引、障害者雇用枠での就労支援などが受けられます。
- 障害年金(障害基礎年金・障害厚生年金):日常生活や就労に著しい制限がある場合、初診日に加入していた公的年金制度に基づき支給されます。初診日から1年6ヶ月経過した「障害認定日」以降に請求が可能です。