新世界に降り立った旅行者が真っ先に直面するのが、「結局どこへ入るべきか」という選択です。新世界の勢力図は、全国に店舗網を広げる「だるま」グループと、通天閣南側のジャンジャン横丁(南陽通商店街)に鎮座する「八重勝」「てんぐ」の対立軸で捉えると構造が鮮明に見えてきます。
1929年創業の元祖を名乗る新世界串カツだるま総本店評判を支えているのは、独自配合の極薄衣と高品質な牛脂(ヘッド)で揚げられる軽快さです。さらりとした酸味際立つウスターソースとの相性は抜群で、何本食べても胃もたれしにくいキレ味を誇ります。小ぢんまりとした総本店のカウンターには、創業当時の熱気が今なお色濃く宿っています。
対するジャンジャン横丁の雄、八重勝てんぐ違い比較は地元客の間でも長年熱く議論されてきたテーマです。八重勝の最大の特徴は、生地に山芋を練り込んだ「ふんわりフリッター状の分厚い黄金衣」にあります。具材の水分を閉じ込めたジューシーな揚げ上がりと、白味噌ベースで柔らかく煮込まれた名物「どて焼」の甘みが絶大な人気を誇り、連日最も長い列を作ります。
そのすぐ隣に位置する「てんぐ」は、対照的に「キメの細かいパン粉による軽快なサクサク感」を追求しています。カウンター内の大釜で揚げる職人の無駄のない所作、大ぶりの牛串カツ、そしてコク深い赤味噌仕立てのどて焼きと、八重勝よりややビターで無骨な下町らしさが食通を唸らせています。