現場で相続実務に携わる専門家たちは、それぞれ異なる視点から協議書の不備に警鐘を鳴らし続けている。
紛争解決のプロである弁護士は、曖昧な条件付き分割(「将来実家を売却したら代金を分ける」といった口約束に近い条項)が招く将来の裁判リスクを指摘する。文言の解釈をめぐる意見の食い違いが、兄弟姉妹間の決定的な決裂を生むからだ。
不動産登記を担う司法書士は、誤字脱字や契印(割印)の押し忘れによる登記却下の多さに頭を抱える。そして税理士は、分割方法の違いがもたらす相続税額の跳ね上がりを警戒する。専門職ごとの視点を踏まえ、法務・登記・税務の全方位で穴のない書面を構築することが極めて重要だ。