少年愛を正面から描いた金字塔として知られる『風と木の詩』は、その壮大な世界観の背景に多様な古典的オマージュを秘めている。ジャン・コクトーの映画作品やトーマス・マンの小説が漂わせるデカダンな空気感、あるいは19世紀フランスの寄宿学校を舞台にした文学作品が、物語の耽美な世界を構築する大きな柱となった。
主人公たちの揺れ動く心理状態や悲劇的な運命の配置には、西洋古典文学における愛と死のテーゼが色濃く反映されている。こうした強固なモチーフが存在するからこそ、時代を超えて読者の心を揺さぶり続ける普遍性が宿っているのだ。