どれほど最新鋭のロケットであっても、最終的な打ち上げ可否を握るのは自然の猛威だ。台風の通り道であり、季節風や高層の風の乱れが激しい種子島は、ロケット打ち上げにおいて決して甘い気象条件の地ではない。上空の強風や雷雲の接近により、カウントダウンが土壇場でストップする光景は、過去に何度も繰り返されてきた。
だからこそ、現場を支えるエンジニアたちの気象予測ノウハウと迅速な意思決定には、熟練の職人技とも言える高度な知見が詰まっている。ドップラーレーダーをはじめとする最新の観測機器を活用し、数十秒単位で変動する風向きや雲の動きを解析。機体への負担を最小限に抑える飛行ルートの自動補正システムも進化を遂げた。一発勝負の極限状態の中、数ミリの狂いも許さない緊張感と戦い続ける現場の執念が、日本の高い成功率を陰で支えている。