日本文学の金字塔として、国語の教科書にも長年掲載されてきた代表作『二十億光年の孤独』。デビュー作でありながら、宇宙規模の視座と個人の孤独を見事なコントラストで描き出したこの詩は、短くシンプルなフレーズで構成されている。火星人と地球人のすれ違いを思わせる軽やかな描写の裏には、人間存在の本質的な孤立と、それゆえの愛おしさが潜む。
一方、朗誦されることも多い『生きる』は、日常の断片を短文の連続で積み上げる手法が光る。「いま生きていること」というフレーズの反復が、生きている実感をダイレクトに呼び覚ます。集英社から刊行された数々の詩集でも異彩を放つこれらの名作は、単なる懐かしさにとどまらない。現代において、他者との接続に疲れ切った人々の心に、ふたたび鮮烈な「生の質感」を取り戻させる力を持っている。