軍師としての神算鬼謀ぶりで知られる諸葛亮。しかし近年の木簡研究や発掘調査が描き出す彼の本来の姿は、超常的な天才軍師というよりも、極めて冷徹かつ近代的な法治主義官僚のそれだ。成都周辺で見つかる行政文書の断片からは、蜀の苛酷な地理的制約のなかで、厳格な法運用と綿密な産業育成によって小国を支え抜いた実務家としての苦闘が浮かび上がる。
一方、稀代の悪玉として描かれがちだった曹操の再評価も目覚ましい。河南省安陽市で発掘された曹操高陵の本格的な遺骨鑑定と副葬品調査は、彼が生前に遺言した「薄葬(簡素な墓)」の記述が真実であったことを証明した。皇帝の権威を凌駕しながらも質素を重んじ、文芸と実力主義を徹底した政治家。ステレオタイプな暴君像は剥ぎ取られ、合理的で多面的なリアリストとしての素顔が浮き彫りになっている。