「この木なんの木 気になる木」――誰もが一度は耳にしたことがある、日立グループのテレビCMでおなじみの名曲と雄大な大樹。青空に向かって大きく傘を広げたその姿を見て、「あの木は実在するのか」「本当の木の名前や種類は何なのか」と興味を惹かれた経験を持つ人は少なくありません。
2026年の現在も多くの人々に親しまれているこのシンボルツリーは、CG合成などではなく、太平洋の楽園ハワイにしっかりと根を張って実在しています。本稿では、植物学的な知見や現地取材データをもとに、巨木の正式名称や驚きの樹齢、花言葉、そしてネット上で囁かれた「枯れた」という噂の真実から現在の観光実情まで、余すところなく解き明かします。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】- 要点1:「この木なんの木」の正式な植物名はモンキーポッド(和名:アメリカネムノキ)で、オアフ島のモアナルア・ガーデンに実在する。
- 要点2:推定樹齢は約130〜140年、枝の広がりは約40メートルに及び、「枯れた」というネット上の噂は完全な誤解である。
- 要点3:ロケ地の公園は現在有料化(大人10ドル)されており、ワイキキ中心部からレンタカーや配車アプリで20〜30分で訪問可能。
【名前の正体】「この木なんの木」の植物名と驚きの樹齢・大きさ
CMの歌詞で「名前も知らない木ですから」と歌われるあの巨木ですが、植物学上の正式な木の名前と正体は、マメ科ネムノキ亜科に属するモンキーポッド(Monkeypod)です。学名をAlbizia saman、標準和名ではアメリカネムノキと呼ばれています。
原産地は熱帯アメリカ(中南米)ですが、現在はハワイ諸島や東南アジアなど世界中の熱帯・亜熱帯地域に広く分布しています。現地ハワイのモアナルア・ガーデンにある個体は、19世紀中頃に植えられたと記録されており、現在の樹齢と大きさは以下の通り圧倒的なスケールを誇ります。
- 推定樹齢:約130〜140年(1880年代の植樹記録に基づく)
- 樹高:約25メートル(ビル8階相当)
- 枝の広がり(幅):約40メートル(大型旅客機の翼幅に匹敵)
- 幹の周囲:約7メートル
横方向へダイナミックに広がる円形(ドーム状)の美しい樹形は、強い日差しが照りつける南国において天然の巨大な日陰を作り出し、古くから地域の人々の憩いの場として親しまれてきました。
また、モンキーポッドの花言葉と特徴にも特筆すべき点があります。花言葉は「歓喜」「胸のときめき」「創造力」とされ、日立グループが掲げる「優れた自主技術・製品の開発を通じて社会に貢献する」という企業理念とも見事に合致しています。さらに、日の入り時や雨が降り始めると葉を閉じる性質があることから、英語圏では別名「レインツリー(Rain Tree)」とも呼ばれ、春から秋にかけては白とピンクの繊細な綿毛のようなパフ状の花を咲かせます。
知られざる歴史|歴代日立CMのロケ地変遷と巨木の比較
「日立の樹」のテレビCMが放映を開始したのは1973年のことです。作詞・伊藤アキラ氏、作曲・小林亜星氏のタッグによって生み出された名曲は半世紀以上にわたり親しまれていますが、実は歴代のCM映像を振り返ると、常に同じ木が使われてきたわけではありません。
企業のグローバル展開や映像表現の刷新に伴い、世界各地の巨木が撮影地として選ばれてきた経緯があります。ここでは、歴代CMに登場した代表的な樹木と現在のモアナルア・ガーデンの木をデータで比較検証します。
日立製作所の公式アーカイヴ資料によると、初代(1973年)は現在と同じモアナルア・ガーデンの木でしたが、第2代はシンガポールのレインツリー、第6代はアメリカ・フロリダ州のライブオーク(カシの一種)、第7代はロサンゼルスのマンゴーの木などが起用されました。しかし、視聴者から「あの親しみやすい傘のようなハワイの木をもう一度見たい」という強い要望が寄せられ、第9代(1984年)以降は再びハワイ・オアフ島のモンキーポッドが選ばれ、現在まで不動のシンボルとして定着しています。