薄利多売のビジネスモデルが崩壊した今、コンビニエンスストア業界の舵取りはどう変化しているのか。トップたちの視線の先にあるのは、「価格競争からの完全な脱却」である。
株式会社セブン&アイ・ホールディングスを率いる井阪隆一氏は、質の向上を伴わない安易な価格据え置きを否定し、付加価値による顧客単価の引き上げを一貫して重視してきた。専用マシンのミル構造を刷新し、雑味を極限まで減らした抽出技術の導入など、専門店クオリティをコンビニで再現する設備投資を惜しまない姿勢を崩さない。
一方、株式会社ローソンの竹増貞信社長は、来店頻度を高めるコミュニティ型店舗の強みを活かし、コーヒーを「顧客との接点(エンゲージメント)ツール」として再定義する。タンブラー持参による割引や、ローソンアプリを活用したスタンプ機能の連携など、単なる一杯の販売にとどまらないデジタルマーケティングを展開。安売りで客を釣る時代は終わり、納得感のある一杯をいかに選ばせるかという体験価値の戦いへとシフトしている。