アイドルの写真集が消費財のように次々と消費されていくなかで、なぜ山本彩写真集SYは10年以上が経過してもなお色あせない強度を保ち続けているのでしょうか。その核心は、徹底した「アーティシズム」と「アスリート性」の共存にあります。
2015年当時のアイドルグラビアシーンは、柔らかな日差しの中で微笑むナチュラル系や、親近感を押し出したリゾートグラビアが主流を占めていました。しかし、本作が提示したのは、コントラストの強いライティング、エッジの効いたポージング、そして何より無駄な脂肪を一切削ぎ落とした彫刻のようなフィジカルでした。
発売当時のオリコン週間写真集ランキングで首位を獲得した際、出版業界関係者の間では「男性向けアイドルの枠を完全に逸脱した、ファッション誌やアートブックに近い衝撃」と報じられました。単なる「アイドルの水着写真」を求めていた読者の予想を鮮やかに裏切り、強烈な美意識で観る者を圧倒したことこそが、本作が伝説と呼ばれる最大の理由です。