鬼怒川温泉がこうした噂の舞台になりやすい背景には、地域が抱える特有の景観問題が存在する。栃木県日光市に位置するこのエリアは、かつて年間数百万人の観光客を集めた大温泉街だ。しかし、バブル崩壊後の倒産ラッシュにより、鬼怒川の渓谷沿いには解体されずに放置された巨大な「廃ホテル群」が今も残されている。
荒廃した窓ガラスや崩れ落ちた壁面。これらの本物の廃墟群が醸し出す不気味な雰囲気が、近隣で営業を続けるホテルニューさくらとネット上で混同されてしまったことこそ、噂の最大の元ネタである。本来無関係であるはずの営業中の宿が、廃墟の怪しい影と重なって心霊スポットとして語られるというミスマッチが生じているのだ。