聖イグナチオ教会のアイデンティティを理解する上で外せないのが、カトリック修道会「イエズス会」および上智大学との深い歴史的結びつきです。
教会の守護聖人である「聖イグナチオ・デ・ロヨラ」は、16世紀にフランシスコ・ザビエルらとともにイエズス会を創設した人物です。この教会のルーツは、戦後間もない1947年、広島で被爆しながらも奇跡的に生き延び、被爆者の救護に尽力したペドロ・アルペ神父(後のイエズス会総長)や、同じく被爆者であるヘルムート・エルンスト・クラインゾルゲ神父らの尽力によって四ツ谷の地に設立されたことに始まります。
1949年に完成した旧聖堂は、建築家・坂倉準三(ル・コルビュジエの高弟)によるモダンな和洋折衷デザインで長く親しまれましたが、信徒数の急増と建物の老朽化に伴い、1999年に現在の壮麗な新聖堂へと建て替えられました。現在も教会と隣接する上智大学は一体的な敷地として繋がっており、司祭たちの多くが大学で教鞭を執り、研究者と牧会者という2つの顔を持っています。この知性と信仰の高度な融合こそが、麹町教会特有の知性的でリベラルな気風を形成しているのです。