薄浅葱色の輝きを放ち、何をやらせても失敗ばかりだった純粋な初期像。それがどのような辿り着きを経て、人類すべての業を背負う最終形態へと至ったのか。その変遷過程は幾重もの喪失と獲得の歴史である。
物語初期のフォスは、博物誌の編纂という裏方仕事を命じられる弱小な存在に過ぎなかった。しかし、アドミラビリス族の王に騙されて足の大部分を失い、アゲート(瑪瑙)の代用足を装着したことで俊足を手に入れる。これが最初の肉体改変だった。インクルージョン(微小生物)が記憶を司る宝石たちにとって、身体の一部を失うことは「思い出」の欠損を意味する。強さを得るたびに、かつての自分が削ぎ落とされていく恐怖がここから始まる。
流氷の囁きに誘われて両腕を失った際には、金と白金の合金を移植。この可塑性に富む腕は強力な武器となったが、同時にフォスの精神から軽やかさを奪い去り、重苦しい焦燥感を植え付けた。さらに、頭部を失ったことで親友ラピスラズリの頭部を移植されると、驚異的な洞察力と冷徹な知的思考を獲得。もはや初期の無垢な面影は消え失せ、月との関係や世界の真実を暴こうとする復讐者の如き異形へと覚醒していく。