現在の日本の水産業は、気候変動や海水温の上昇に伴う漁獲魚種の変化という大きな転換期を迎えている。こうした状況下で同店が貫いているのは、産地との強固な信頼関係に基づくダイレクトな仕入れルートの開拓だ。特定のブランド魚だけに固執せず、全国各地の浜から届く「今一番旨い未利用魚や旬魚」を的確に見極めている。
なかでも評判を呼んでいるのが、水揚げ直後に神経締めを施された鮮魚を用いた海鮮料理の数々だ。身の弾力とうま味成分であるイノシン酸のバランスが完璧に保たれた白身魚は、噛むほどに上品な甘みが広がる。薄造りにされた旬の平目を自家製の煎り酒でいただけば、魚本来の滋味が口いっぱいに満ちていく。
季節ごとに顔ぶれを変えるお造りの盛り合わせは、まさに日本の海の縮図だ。春の初鰹、夏の鱧、秋の戻り鰹、冬の寒鰤。四季の移ろいを舌先でダイレクトに感じられる贅沢が、ここには確かに息づいている。