「油は冷やせば長持ちする」という思い込みから、開封後のボトルをそのまま冷蔵庫のドアポケットへ放り込んでいないだろうか。実はこれこそが、オイルの風味を一瞬で壊してしまう最大の罠だ。オリーブオイルに含まれる主な脂肪酸は1価不飽和脂肪酸である。約10度以下になると固形化が始まり、白く濁って固まってしまう性質を持つ。
問題は、使うたびに「冷蔵庫から取り出して常温に戻し、また冷蔵庫へ戻す」という温度変化を繰り返す点にある。この激しい寒暖差によってボトル内部に微小な結露(水滴)が発生し、オイルに水が混入する。水分は加水分解を引き起こし、せっかくのエキストラヴァージンオリーブオイルが持つ青々しいリンゴや刈りたての草のような繊細なアロマ成分を短期間で劇的に破壊してしまうのだ。さらに解凍過程でオイルの粒子構造が不均一になり、口当たりや風味が著しく損なわれる。