「心のノート」が誕生した背景には、1990年代後半から2000年代初頭にかけて日本社会を揺るがした少年事件の多発や、学校におけるいじめ・不登校の深刻化がありました。青少年の規範意識の低下が叫ばれる中、文部科学省は2002年4月、完全学校週5日制(ゆとり教育)の導入と同時に、全国の国公私立小学校・中学校の全児童・生徒を対象として心のノート(道徳の副教材)の無償配布に踏み切りました。
教材は発達段階に合わせて全4種類が用意され、それぞれ学年に適した体裁が取られていました。
- 小学校1・2年生用(低学年):ひらがな中心で親しみやすい動物イラストを多用した構成
- 小学校3・4年生用(中学年):友達との関わりや社会のルールを意識させる問いかけ
- 小学校5・6年生用(高学年):自己を見つめ、将来の夢や自立心を育むテーマ
- 中学校用:思春期の葛藤、生命の尊厳、社会の一員としての責任を深く掘り下げた記述
従来の「道徳の読み物資料」とは一線を画し、児童生徒自らが書き込みを行って持ち帰るワークブック形式を採用した点が画期的でした。公式発表資料によると、2009年(平成21年)には新学習指導要領の趣旨を踏まえた改訂が行われ、内容の充実が図られました。