錦帯橋の美しさは、完成当時の部材がそのまま残っているからではなく、定期的な架け替えによって技と魂が更新され続けている点にあります。
直近の大規模工事である「平成の架け替え」は、平成13年(2001年)から平成15年(2004年)にかけて総工費約26億円を投じて実施されました。木造橋の部材寿命に応じ、床板は約20年、主要なアーチ構造木は約50年周期で架け替え・改修を行うサイクルが確立されています。平成の工事では、全国から集められた樹齢数百年のヒノキ、ケヤキ、マツ、クリなどの銘木を用い、宮大工たちが江戸時代の設計図(木割書)に忠実な手刻みの木組み技術を現代に甦らせました。
現在、錦帯橋は日本の「世界遺産暫定一覧表」に記載されており、世界遺産登録に向けた活動が着実に進められています。「人類の創造的資質を示す傑作」としての木造アーチ構造の特異性と、数百年間にわたり定期的な架け替えを領民・市民の手で継続してきた「生きた文化的景観」の価値が国内外の専門家から高く評価されています。周辺景観の保全条例やバッファーゾーンの整備など、国際基準を満たす環境保全が2026年現在も官民一体で推進されています。