全国の小学校で急速に撤去が進んでいるのが、校庭の隅に佇んでいた白い木箱「百葉箱(ひゃくようそう)」です。かつては理科の授業で気温や湿度を記録するために必須の設備でしたが、現場ではどのような変化が起きているのでしょうか。
公立小学校で長年教鞭を執る現役教員への取材によると、現場の実情は極めて合理的です。
「昔は休み時間ごとに児童が百葉箱へ走り、ガラス製温度計を目視で読み取ってノートに記録していました。しかし現在は、手のひらサイズのデジタル環境センサーを校舎内外に置くだけで、タブレット上に1分ごとの気温・気圧・WBGT(暑さ指数)推移がグラフ化されます。熱中症アラートが自動で職員室に飛ぶ現代において、維持管理に手間がかかり老朽化で倒壊リスクもある百葉箱をあえて残す理由は薄くなっています」
SNSやネット掲示板上でも「久しぶりに母校の前を通ったら百葉箱の基礎だけが残っていた」「子どもに聞いたら『何それ?』と言われてジェネレーションギャップに衝撃を受けた」といった投稿が相次いでいます。気象観測の原理を学ぶ教育的価値は認められつつも、実用性と学校安全の観点から、多くの自治体で計画的な撤去が進められているのが実態です。