メッセージングアプリが生活インフラとなって久しい。LINEヤフー株式会社が提供するLINEや、Meta Platforms, Inc.が傘下に収める各種プラットフォームの普及により、他者との接続は極限まで容易になった。しかし、手軽さと引き換えに失われたものがある。それは「わざわざ連絡する理由」の重みだ。
ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)業界の動向を追うリサーチャーは、デジタルコミュニケーション産業においてテキストの「希釈化」と「重層化」が同時に進行していると指摘する。かつて電話や電子メールが担っていた儀礼的な挨拶は削ぎ落とされ、いまや思いつきのひとことがダイレクトに相手のプライベート空間へ侵入する。X(旧Twitter)などのタイムライン上でも、唐突なメッセージへの戸惑いや歓喜をめぐる議論が絶えず交わされている。この軽やかな7文字は、気兼ねのない関係を築くための武器にもなれば、相手を困惑させる不躾なノックにもなり得るのだ。