かつて、彼の演技力に異を唱える者はいなかった。『ユージュアル・サスペクツ』で見せた伝説的なカイザー・ソゼの変貌、そして『アメリカン・ビューティー』で中年男の悲哀と狂気を体現した演技。彼は二度、映画芸術科学アカデミーの頂点に立ち、アカデミー主演男優賞と助演男優賞の両方を手中に収めた稀有な存在だ。
デヴィッド・フィンチャー監督の傑作『セブン』における戦慄のシリアルキラー役をはじめ、ケヴィン・スペイシーがフィルムに刻み込んだ不穏な空気と知的な狂気は、他の追随を許さない。それだけに、観客が彼に抱いていたリスペクトと、事件によってもたらされた失望のコントラストは残酷なまでに際立っていた。