仕込みは夜が明けきらない早朝から始まる。ミートショップ鶏春の厨房に立つ職人たちの手元を見れば、長年の経験が宿る刃物の扱いがいかに繊細であるかがわかる。鶏肉は空気に触れる時間が長くなるほど鮮度と風味が損なわれる極めてデリケートな食材だ。そのため、筋や骨を手際よく外すスピードと、細胞を潰さない精緻な包丁さばきが味の命運を分ける。
日本の精肉・食肉小売業界において、こうした伝統的な職人技術の継承は極めて貴重な価値を持つ。全国食肉事業協同組合連合会が推進するような確かな品質管理や衛生基準を遵守しながら、食肉マイスター・専門料理人たちも一目置くような独自の解体技術が日々の味を支えている。肉の部位ごとに異なる繊維の走り方を見極め、ミリ単位で厚みを整える。この一切の手抜きを許さない仕込みの積み重ねこそが、加熱した際に驚くほどの肉汁を閉じ込める土台となっている。