ネット上の音楽コミュニティやSNSでは、定期的に「原由子のボーカルはなぜ飽きないのか」という議論が巻き起こります。「テクニックを誇示するタイプの歌姫とは一線を画している」「童謡を聴いているような安心感がある」といった声が目立ちますが、その本質は極めて高度な音楽的バランスに支えられています。
第一に挙げられるのが、「天性の倍音成分」です。彼女の声には、聴き手に心地よさと安心感を与える周波数成分が豊かに含まれています。張り上げるようなベルティング発声ではなく、息を多量に含ませたソフトな発声法でありながら、言葉の輪郭が驚くほど明瞭に耳へ飛び込んできます。これは幼少期からクラシックピアノに親しみ、正確なピッチ(音程)感を身体で覚えているからこそ可能な職人技です。
第二に、「洋楽的グルーヴと和風情緒の奇跡的な同居」です。エリック・クラプトンやビートルズに傾倒してきた生粋のロックキーボーディストである彼女のタイム感は、極めて正確かつグルーヴィーです。リズムの「溜め」や「突っ込み」が洋楽のセンスでありながら、歌っているメロディは日本人の琴線に触れるヨナ抜き音階や叙情的な節回し。この二重構造が、彼女の曲を「古臭い歌謡曲」に終わらせず、洗練されたエバーグリーンなポップスへと昇華させているのです。