敷地に足を踏み入れた瞬間、誰もがその圧倒的な木造建築の迫力に息をのむ。主屋をはじめとする建造物群は、文化庁により国登録有形文化財に指定されており、近代和風建築の粋を集めた傑作として学術的にも極めて高い評価を得ている。
贅を尽くしながらも品格を失わない数寄屋風の意匠。銘木を惜しみなく使った床柱や、職人の手仕事が光る組子細工の欄間など、細部へのこだわりは凄まじい。光と影の陰影を計算し尽くした空間設計は、西洋の建築技法が流入した時代にあって、日本の伝統美を極限まで突き詰めた結果といえる。
単に古い建物を保存しているのではない。建具の滑らかさ、畳の感触、縁側から抜ける風の心地よさに至るまで、当時の生活の息遣いがそのまま維持されている点にこそ、この邸宅の真価がある。