『フライングゲット』をめぐっては、当時のAKB48を取り巻くCDの複数買いや特典商法への風当たりから、「楽曲そのものよりも特典で売れた曲」というネット上の偏見が一部で根強く存在していました。しかし、音楽理論やサウンドプロダクションの観点から本作を再検証すると、その評価は大きく覆ります。
作曲を手掛けたのは、数々の名曲を世に送り出してきたすみだしんや氏、編曲は生田真心氏が担当。アフロキューバンやサルサの要素を取り入れた情熱的なホーンセクション、疾走感あふれるロックギター、そしてマイナーペンタトニックを基調とした昭和歌謡直系のメロディラインが見事なバランスで融合しています。
単なるティーン向けポップスではなく、大人の鑑賞にも堪えうる高度なラテン・ブラスロックとして構築されていたからこそ、レコード大賞の審査員や音楽評論家からも高い評価を獲得するに至りました。商業的ヒットと音楽的クオリティが奇跡的なバランスで両立していた事実こそ、本作の真の強みです。