多くの人が誤解しがちだが、大活字本は単に元の原稿をコピー機で拡大したものではない。そこには、視覚特性を徹底的に研究した専門出版社やデザイナーの知恵が詰まっている。
例えば、フォントには視認性の高い「ユニバーサルデザイン(UD)フォント」が採用されることが多い。濁点や半濁点(「ば」と「ぱ」など)の区別がつきやすく、文字の潰れを防ぐ設計だ。さらに、行間や文字間隔にも独自の基準が設けられており、視線が次の行へスムーズに移動できるよう配慮されている。紙の色も、光の反射を抑えるクリーム色や淡いベージュが選ばれることが多く、徹底して「目が疲れない構造」が追求されているのだ。