物語の核心である『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』というタイトルの意味には、高寿と愛美それぞれの視点から見ると異なる重みが込められています。
高寿の視点から見れば、「僕が迎える明日は、彼女にとっての昨日」。つまり、自分が明日新しく積み重ねる思い出は、彼女にとってはすでに体験し終えて過去になった出来事に向かっていくことになります。一方で、愛美の視点から見れば、「明日会う高寿は、昨日一緒にいた自分を知らない高寿」なのです。
物語のラスト、高寿視点の30日間を描き終えたカメラは、愛美視点での第1日目(高寿にとっての最後の日)へと切り替わります。電車の中で高寿から「一目惚れしました」と声をかけられた瞬間、愛美はこれから始まる恋の幸せと、同時にそれが確実に失われていく未来を知りながら、涙をこらえて笑顔を作ります。この結末の反転描写により、タイトルに隠された真意が鮮烈に明かされることになります。