『ぼく明日』が「2回観ると1回目とは全く違う物語に見える」と絶賛される最大の理由は、緻密に張り巡らされた伏線回収にあります。
物語の冒頭、叡山電車の宝ヶ池駅で高寿が告白した際、愛美は突然ポロポロと涙を流します。初見では「嬉し泣き」のように見えますが、愛美にとっては20歳の高寿と過ごす最後の瞬間だったからこそ、こらえきれずに溢れ出た涙でした。
さらに、高寿が初めて手をつないだ日、初めて下の名前で呼んだ日、愛美の手料理を食べた日など、高寿が「初めて」を経験して喜ぶたびに、愛美にとっては「高寿とそれができる最後の日」でした。作中で愛美が手帳を大事そうに確認していた理由や、「また明日ね」という何気ない別れ言葉に詰まる仕草など、日常の細部にまで悲しい真実が敷き詰められています。