連載初期の『遊☆戯☆王』は、必ずしもカードゲーム中心の物語ではなかった。高橋和希氏が描こうとした原点は、古代エジプトのオカルティズム、心理戦の緊迫感、そして何より「他者と心を通わせる手段としてのゲーム」だった。週刊少年ジャンプの過酷なアンケート競争の中で、読者の心を鷲掴みにしたのは作中ゲーム「マジック&ウィザーズ」の登場だ。
反響は凄まじかった。読者からの圧倒的な要望に応える形でルールが再構築され、集英社のバックアップのもとで物語はカードバトルへと舵を切る。だが、高橋氏の制作拠点スタジオ・ダイスから生まれる設定は、単なる商業的なヒット狙いとは一線を画していた。モンスターのデザイン1体、カードの枠線の1本に至るまで、氏のアメリカン・コミックスへの造詣と独自の幾何学的アートワークが注ぎ込まれたのだ。