欧米諸国において、ナチズムを連想させるシンボルやジェスチャーの使用は法律で厳しく規制されているか、あるいは強固な社会的タブーとされている。今回の騒動でも、ユダヤ系人権団体として国際的な影響力を持つサイモン・ヴィーゼンタール・センター(SWC)などの動向に注目が集まった。過去に日本のアーティストやエンターテインメント作品が同団体から指摘を受けた例は少なくなく、今回も国際的な監視の目が向けられる格好となった。
西洋社会において「敬礼」という行為は、歴史的記憶と切り離すことができない。日本国内で流行する軍服風コスチュームやコンテンポラリーダンスの動きであっても、境界線は極めて曖昧だ。ローカルなエンタメ文脈とグローバルな人権意識の間の溝が、あらためて浮き彫りとなった瞬間と言える。