日本の芸能界において、おしどり夫婦として知られる大沢あかねと劇団ひとり。この二人の結婚において、最大の関門にして最大の理解者となったのも大沢親分だった。
初めての挨拶の日。劇団ひとりは極度の緊張で固まり、親分の待つ座敷へと向かった。テレビで見る通りの威圧感。だが、親分が投げかけた質問は、肩透かしを食らうほどシンプルだった。「お前、あかねを泣かせないか」。
芸人としてではなく、一人の男として孫を託せるか。劇団ひとりの誠実な返答を聞いた親分は、豪快に笑いながら酒を酌み交わし、その場で二人を家族として受け入れた。人を肩書や人気で見ず、腹の底にある覚悟で見極める。直感と人間観察に裏打ちされた親分の「眼力」は、見事に孫娘の幸せな未来を言い当てていた。