彼女が結婚を選ばなかったもう一つの大きな要因として、家族への深い愛情が挙げられる。特に母親との絆は非常に強く、中島みゆきの人生において極めて大きな位置を占めていた。
中島は長年にわたり、体調を崩した母親の介護を自身の手で行っていたと伝えられている。華やかな音楽活動の裏側で、一人の娘として家族に寄り添い、静かに生活を支え続けていたのだ。コンサートツアーや曲作りという過密なスケジュールの合間を縫っての介護生活は、並大抵の労力ではなかったはずだ。
自分以外の誰かの人生を背負い、看取る。その深い愛の体験は、彼女の楽曲にさらなる奥行きと慈愛をもたらした。「結婚」という枠組みにとらわれずとも、彼女は家族という存在を通じて、誰よりも深く人を愛することの意味を知っていたのである。