マルファン症候群は、細胞と細胞を繋ぐ結合組織の主要成分である「フィブリリン1(FBN1)」遺伝子の変異によって生じる遺伝性疾患です。全身の結合組織が脆弱になるため、骨格、眼、心臓血管系などに特徴的な症状が現れます。
見た目に現れやすい主な身体的特徴には、以下のような点が挙げられます。
- 骨格系の特徴:同年代の平均を大きく上回る高身長、手足や指が極端に細長い「クモ状指(クモ指症)」、胸郭の変形(漏斗胸や鳩胸)、背骨が曲がる側弯症、扁平足、関節の過剰な柔軟性。
- 眼の特徴:水晶体を支える毛様小帯が弱いために起こる「水晶体偏位(水晶体亜脱臼)」、若年性の重度近視、網膜剥離。
- 心血管系の特徴(最も警戒すべき点):大動脈の壁が弱くなり徐々に風船のように膨らむ「大動脈基部拡張症」、血管の内膜が裂ける大動脈解離、僧帽弁閉鎖不全症。
「指が長い」「高身長」という特徴は一見するとモデル体型として捉えられがちですが、医学的には血管壁や結合組織の強度が低下しているサインでもあります。特に大動脈解離は生命に直結する重篤な合併症であるため、外見的特徴をきっかけに循環器系の精密検査を受けることが推奨されています。