父は俳優の水谷豊、母は元キャンディーズの伊藤蘭。あまりにも巨大な二人の表現者を親に持つ事実は、かつて彼女の肩に重くのしかかっていた。しかし、彼女はその血筋を売り物にすることを頑なに拒み、名もなき端役から一歩ずつキャリアを積み上げてきた。実力派が多数所属するトップコートに身を置き、自らの力だけでオーディションを勝ち抜いてきた歴史がある。
その執念が結実したのが、『生きてるだけで、愛。』で受賞した日本アカデミー賞新人俳優賞だ。映画賞の壇上に立った彼女の姿に、「二世」という冠言葉を口にする者はいなかった。両親から受け継いだ類まれな表現のDNAを、自分自身の血肉として完全に再構築した瞬間だった。