主軸を取り巻くサイドキャラクターたちの濃密な人間模様こそが、本作を単なるラブストーリーに終わらせない強靭な屋台骨となった。
一星の親友であり、手話が堪能な佐藤春を演じた千葉雄大。親になることへの恐怖と葛藤を抱えた春の揺らぎを、千葉は過剰な芝居を排したリアルな吐息で演じ切った。そして、遺品整理会社「ポラリス」の社長・橋本英雄を演じた水野美紀の存在感は圧巻の一言。パワフルで底抜けに明るいリーダーでありながら、時に一星の孤独を誰よりも理解し包み込む母のような眼差しを見せる。彼らが織りなす疑似家族のような連帯感は、観る者に「人は一人では生きられないが、誰かとつながることで再生できる」という確信を与えた。