二人の関係が破滅へと転落した直接の契機は、夏祭りの夜に夏芽を襲った暴漢事件だ。しかし、運命が狂い始めた本質的な原因は、事件そのもの以上に「自分が神様ではなく、ただの無力な子供に過ぎなかった」という全能感の完全なる喪失にある。
自分が世界を支配していると信じて疑わなかったコウは、愛する少女が傷つけられる瞬間を前にして、何も守ることができなかった。その絶望が彼の傲慢なプライドを無残に打ち砕き、生きる気力を奪っていく。一方の夏芽もまた、自らの絶対的な光であったコウが地に墜ちる姿を目の当たりにし、自分自身のアイデンティティを見失う。互いを自分以上の存在として神格化しすぎていたからこそ、一度の挫折が二人を底知れぬ暗闇へと引きずり込んだのだ。