かつて小泉家と宮本家の間には、極めて高い「制度的・感情的な壁」が存在していました。佳長氏が中学生だった頃、父親である純一郎氏の事務所に電話をかけたり、選挙事務所を訪れて面会を求めたものの、関係者によって厳しく拒絶されたというエピソードは、当時の週刊誌等でも報じられています。政治の世界を守るための厳格な線引きが、親子の情愛を阻んでいた時代でした。
この厚い氷を溶かす契機となったのが、2008年9月の小泉純一郎氏による政界引退表明でした。首相の重責と政治の第一線から退いた純一郎氏は、長男の孝太郎氏を呼び出し、静かにこう語りかけたと伝えられています。
「お前たちはもう大人だ。家の事情など関係ない。3人で会って、兄弟仲良くやってくれ」
父の言葉を受けた孝太郎氏が動き、進次郎氏、そして佳長氏との連絡を取り持ちました。都内のレストランでセッティングされた初対面の席。最初は緊張に包まれていたものの、言葉を交わすうちに生き写しのような仕草や血のつながりを実感し、瞬く間に意気投合したといいます。幼い頃に生き別れた兄弟が、実に四半世紀以上の時を経て固い握手を交わした瞬間でした。
そして2013年秋、家族の完全な雪解けを象徴する出来事が訪れます。宮本佳長氏の結婚披露宴です。会場には母・佳代子氏だけでなく、父・純一郎氏、兄の孝太郎氏、進次郎氏が揃って出席しました。乾杯の際、純一郎氏は息子たちの前でこれまでの非礼を詫び、新たな門出を涙ながらに祝福。「家族全員が揃った奇跡」に、会場は深い感動に包まれました。