物語の緊張感が頂点に達したのは、人気漫画家である岸辺露伴が巻き込まれたシーンだ。早人の瞳のなかに現れたミニチュアサイズのキラークイーンを見つけた瞬間、露伴の視界は吹き飛ばされた。荒木飛呂彦が描くダークファンタジーの真骨頂とも言えるこの演出は、読者に「勝てる要素がどこにもない」という圧倒的な絶望を植え付けた。
能力の構造上、吉良本人は誰が爆死したのか、何回ループが起きているのかすら詳細には把握していない。ただ「平穏が保たれている」という結果だけを甘受する。この非対称な情報戦こそが、従来のサスペンス・バトルの枠組みを破壊し、バトル漫画にサスペンス映画のような緊迫感をもたらした最大の要因だ。