美術館の壁を飛び出し、島の人々が生活する集落そのものを舞台にしたのが「家プロジェクト」だ。古い木造民家や神社を改築し、空間そのものをアーティストが作品化している。
本村(ほんむら)地区の路地を歩くと、焼杉の板壁が続く古い町並みの隙間から、ひょっこりとアート空間が現れる。宮島達男のデジタル数字が水面に揺れる『角屋』や、千住博の日本画が眩しい『石橋』など、生活の息吹と芸術が完全に同調している様子は実に味わい深い。
島民が日常の挨拶を交わす横を通り抜けながらアートをめぐる体験は、大型の近代美術館では決して味わえない、直島ならではの温度感に満ちている。