絶対無敵と見られていた藤井聡太の牙城が崩れたのが、2026年の第9期叡王戦五番勝負でした。同学年であり、幼少期の全国大会で藤井を泣かせた逸話を持つ伊藤匠が挑戦し、3勝2敗で叡王のタイトルを奪取。藤井聡太にとってプロ入り後初めての「タイトル戦敗退」となり、八冠の一角が崩れる結果となりました。
なぜ藤井聡太は叡王戦で敗れたのか。その要因として、専門家やファンの間では以下の点が挙げられています。
第一に、伊藤匠による徹底した事前研究と序中盤のリード構築です。AI研究の最先端を走る伊藤は、藤井の得意戦法に対して隙のない対策を用意し、持ち時間の短い叡王戦(各4時間)の舞台で時間的プレッシャーをかけることに成功しました。
第二に、持ち時間4時間の「1日制棋戦」特有のプレッシャーです。名人戦や竜王戦のような長考派向けの棋戦とは異なり、短時間の決断が求められる展開では、わずかな読みのズレが勝敗に直結します。伊藤の研ぎ澄まされた踏み込みが、藤井の終盤力を発揮させる前に局面を決定づけました。
この叡王失冠は単なる「敗北」ではなく、同世代に絶対王者を脅かすライバルが存在することを証明し、現代将棋界のドラマを一段と熱狂させる契機となりました。