シャッターが上がりきらない早朝7時。観光客の姿がまだないアーケードには、仕込みに追われる職人たちの足音が響く。創業数百年の歴史を持つ漬物店や魚屋の店頭には、近隣の料亭や旅館の料理人が今も毎朝のように足を運ぶ。
京野菜の旬を見極める眼光、代々のぬか床を守り続ける職人の手仕事。観光客向けのテイクアウト商品が売上の多くを占めるようになった今も、老舗たちが最も誇りとするのは「プロの料理人に選ばれ続ける質」だ。観光需要で潤う一方で、京料理の土台を支える卸売機能と品質基準は決して譲らないという姿勢が、市場の格調を支えている。